意思表示まとめ(民法93~96条)

民法総則

民法93条から96条までは、表意者の真意と意思表示が異なる場合、または詐欺や強迫によるなど何らかの不備(瑕疵)がある場合について定めている条文です。
意思の欠缺、瑕疵ある意思表示などといいます。

意思の欠缺や、瑕疵ある意思表示があった場合の法律行為について、民法はどのような意義により定めているかをまとめます。

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心裡留保・錯誤・詐欺または強迫があった場合の意思表示

 
そもそも意思表示とは何かと言うと、一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に対して表示する行為です。
法律行為には不可欠の構成要素です。

意思表示の構成要素は、『効果意思』『表示意思』『表示行為』の3つです。
93条から96条までは、意思表示の構成要素に何らかの欠缺、瑕疵がある場合について定めている条文です。

ところで、意思表示に何らの欠缺、瑕疵がなかった場合にはどうなるか、少し考えてみます。
いわゆる民法の大原則に関わることです。

民法90条(公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

要件
公の秩序に反する事項を目的とする法律行為
又は
善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為

まとめて

  公序良俗に反する事項を目的とする法律行為

= 無効

反対解釈すると、公序良俗に反しない限り、法律行為は有効です。
公序良俗に反しない法律行為に基づく契約は、私的自治の原則に支配されます。

すなわち、民法の3大原則のひとつ、私的自治の原則が当てはまります。
行政書士試験的に、行政の観点からいうと、行政が私人の契約についてできるだけ干渉しない、ということになります。

意思の欠缺・瑕疵ある意思表示を保護する意義

表意者の真意と意思表示に瑕疵や意思の欠缺がある場合には、意思表示を信じて取引関係に入った者とのバランスも考えて、必要に応じて保護しようという趣旨が、93条から96条に記載されています。
この点をまとめてみます。

意思の欠缺や瑕疵ある意思表示があった場合の特徴は、表意者の内心たる真意と、表示された意思が違うということです。
ですから、表意者の内心を重視すべき(意思主義)か、外部の表示された行為を重視すべきか(表示主義)が論点となります。
(このような観点で法律を読み込むと、意義が理解できて、丸暗記学習法から脱出できると思います。)

我が国の民法では、大原則として意思主義を尊重しています。
意思表示の構成要素(効果意思・表示意思・表示行為)に錯誤があった場合、表示された行為でなく内心を重視する、すなわち意思主義を採ることなどは典型です。

このように、原則は表意者の真意を重視する、という観点でみると、『ではどのようなときに相手方を保護するのか?』という視点のみで考えると、条文それぞれの意義が理解出来ると思います。
これも原則として、意思の欠缺または瑕疵ある意思表示であることを、知っている者(悪意)知ることができる者(有過失)は保護せず、知らない者(善意)は保護する、と考えると、条文それぞれの意義が理解出来ると思います。

93条・心裡留保

 
93条・心裡留保は、真意を重視せず、表示された行為を重視しています。

なぜなら、真意と意思表示が異なることを知っているのは表意者だけなのです。
知っている者は保護しない原則から、表示された行為を重視し、意思表示は有効です。

ただし、例外がありましたね。
相手方が、知り(悪意)または知ることができたとき(有過失)は、双方真意を知っている、いわばじゃんけんのアイコのような状態ですから、原則に基づき意思主義を採ります。
すなわち、真意を違うことを互いに知っていた(または相手方が知ることができた)ので、意思表示は無効なのです。

94条・虚偽表示

 
94条・虚偽表示は、通謀により真意と異なる表示をした場合の条文ですから、これも意思主義に基づいて考えれば、真意の無い表示ですから無効であることは理解できます。
そもそも、通謀者は表示と異なることを知っているのですから、保護する必要はありません。

この条文の要点は94条2項です。
この項では、たとえ虚偽の表示であっても、その表示を信じた善意の第三者をどのように考えるか、ということが論点です。
この点も、知らない者は保護するという原則から、(表示を信じた)善意の第三者には対抗できない、と定めています。

95条・錯誤

 
95条・錯誤の意思表示は、原則どおり真意を重視しており、意思表示は無効としています。
ただし、この場合の相手方を考えると、相手方には何の落ち度も無いのに、意思表示が無効となるのはやや理不尽な気もしますね。

そのためか、表意者の意思表示の構成要素に錯誤があっても、表意者に重過失があった場合は、相手方を保護しようという趣旨であると理解できると思います。

96条・詐欺

 
96条・詐欺または強迫は、詐欺と強迫の要件・効果を分けて考えると分かりやすいと思います。

詐欺に関しては、まず取引の当事者が詐欺行為をした場合は、その者は意思表示の要素に錯誤があることを知っているのですから、保護する必要なく、表意者が取り消すことができる意思表示です。
第三者が詐欺をした場合についても、相手方が知っているか否かのみに焦点をしぼれば分かりやすく、知っていれば取り消すことができる意思表示です。

そしてこの条文でも、虚偽表示と同様、(表示を信じた)善意の第三者には対抗できないと定めています。
知らない者は保護する原則です。

96条・強迫

 

強迫に関しては、要件は至ってシンプルです。
強迫行為については、強迫を受け畏怖に基づいてした意思表示をした者を、善意第三者にも対抗要件を与えずに保護する、という趣旨です。
そのくらい、強迫行為を受けて意思表示をした者を保護するという強い趣旨を感じます。

条文は違いますが、法律上、強迫を受けて意思表示をした者とほぼ同様に強く保護されている者がおりますが、ご存知ですか?

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まとめ

 
繰り返しになりますが、我が国の民法では、大原則として意思主義を尊重しています。
原則は表意者の真意を重視する、という観点でみると、『ではどのようなときに相手方を保護するのか?』という視点のみで考えると、条文それぞれの意義が理解出来ると思います。

そして、意思の欠缺または瑕疵ある意思表示であることを、知っている者(悪意)知ることができる者(有過失)は保護せず、知らない者(善意)は保護する、と考えると、条文それぞれの意義が理解出来ると思います。

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