補 助(民法15条、17条)

行為能力

制限行為能力者制度の条文です。
ここでは、後見人、保佐人、補助人などの制限行為能力者の定義、法律行為の効果について定めています。

しかし、後見人、保佐人、さらには補助人の違いについて、逆に記憶してしまったり、記憶が曖昧になってしまって、つい問題文のひっかけにつまづいてしまう人もすくなくありません。

かくいう私もそのひとりでした。

しかし、各々の条文の要件と効果、さらにはその意義をしっかりと理解すれば、決して難しい問題ではありません。
問題が難しく感じている人の原因は、つまるところ、要件・効果が曖昧になっているからだと思います。

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要件・効果

15条と17条の要件を改めて記載します。
15条で被保佐人を定義して、17条で被補助人が、補助人の同意を要する旨の審判について定めています。

被補助人の定義

 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者

 家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者

( =被補助人

例外
第七条(成年被後見人)又は第十一条本文に規定する原因(被保佐人)がある者

 

補助人の同意を要する旨の審判等

 被補助人の法律行為であること

 補助人の同意を得なければならない旨の審判があること

 = 補助人の同意を要する

但書 第十三条第一項(被保佐人の同意を要する行為)に規定する行為の一部に限る

民法15条と17条の公式

 
公式化するとどうなるでしょうか。
まず、蛍光ペンを持ちながら、条文を素読してみます。

成年後見に関しては、まず15条で被補助人について定義がなされています。

15条(補助開始の審判)
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。

補助人の定義について、成年被後見人、被保佐人と比較して異なる要件は、事理を弁識する能力が不十分である者ということです。
成年被後見人の要件のひとつは『事理を弁識する能力を欠く常況にある者』、被保佐人の要件のひとつは『事理を弁識する能力が著しく不十分である者』です。
そして、その審判はそれぞれ家庭裁判所が行うことになっています。

そして、被補助人は、成年被後見人、被保佐人と同時には審判がなされないという例外を定めています。
試験問題では、これらの制限行為能力者制度が重複して審判がなされるか否かを問う問題が、しばしば出題されれますので注意してください。

ここで、補助開始の審判をするにあたっては、成年被後見人、被保佐人には規定されていなかったもうひとつの要件が、2項に定められています。

15条2項
本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。

本人以外の者の請求、すなわち配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により補助開始の審判をする場合は、本人の同意が必要です。
これは、事理弁識能力は不十分であるものの、自分が制限行為能力者制度によって、法の保護を受けるべきかどうかについての判断能力はあるであろう、ということです。

そして、17条で、15条で定義された被補助人の法律行為について保佐人の同意を要する行為が定められています。

17条(補助人の同意を要する旨の審判)
家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る

被保佐人に対しては、13条1項の規定で9つの取り消すことができる行為が定められています。
家庭裁判所は、被補助人が、被保佐人を法律上保護している9つの行為の一部について、補助人の同意が必要である、という審判をすることができるのです。

13条1項の9つの行為全てにおいて、他の誰かの同意が必要であろうと審判されるのが被保佐人であるとすると、もう少し自分で判断できるであろう事理弁識能力はあると審判されるのが被補助人であるということになります。

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同意権か?代理権か?

補助人の審判をなすにあたっては、15条3項にもう一つの要件が定められています。

15条3項 補助開始の審判は、第十七条第一項(同意見付与)の審判又は第八百七十六条の九第一項(代理権付与)の審判ともにしなければならない

つまり、補助開始の審判がなされた場合には、同時に、補助人に同意見を付与するのか、代理権を付与するのか、どちらか一方、または双方の審判をしなければなりません。

補助人に代理権のみが与えられた場合には、被補助人の行為能力は制限されません。
同意権の付与が与えられた場合に、被補助人の行為能力が制限されることになります。

同意権付与と代理権付与の実務上の違いは大きいです。
同意権付与の場合、被補助人の行為能力は制限されるものの、自分の知らない間に自分に効力の及ぶ法律行為が行われることはありません。
一方で、被補助人に代理権が付与されると、自分の意思の及ばないところで、代理行為によって法律行為が行われる可能性もあります。

意義・まとめ

被補助人は、被後見人、被保佐人と比べると判断能力が高い者を想定しています。
ですから、被補助人となるにあたっては、本人の請求または本人の同意が必要であることが特徴的です。

判断能力を基準に、その代理権付与、同意権の付与、本人の同意という基準を、それぞれに当てはめていると考えると、全体像がつかめると思います。

代理権付与の有無、本人の同意の要否などが、試験ではひっかけ問題として出る場合があります。
しかし、制限行為能力者制度の要件と趣旨を理解していれば、あわてるひつようはありません。

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