未成年者(民法4条、5条)

行為能力

未成年者についての条文です。

未成年者については、要件を丸暗記するのでなく、未成年者の意思能力と行為能力を理解して、それを保護する意義を理解すれば、要件・効果が自ずと導かれてきます。

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要件・効果

4条、5条および753条について、公式化して記載します。
これらの条文で重要な公式の結論を先にいうと、以下の通りです。

 未成年者の法律行為であること

 法定代理人の同意を得ていな法律行為であること

 = 取り消すことができる

例外

・ 単に権利を得る行為
・ 義務を逃れる法律行為

・ 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の目的範囲内での処分
・ 法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産
・ 一種又は数種の営業を許された未成年者(その営業に関しては成年と同一)

民法4条と5条の公式


この公式の導き出し方を説明します。
要件効果を条文から導き出してみます。
蛍光ペンを引きながら、条文を素読してみましょう。

まず、4条と753条で成年者を定義、反対に解釈すると、未成年者が定義されます。

4条(成年)
年齢二十歳をもって、成年とする

(2022年4月1日以降は18歳に引き下げ予定)

そして、未成年者であっても結婚したものは、成年者として扱われます。

753条(婚姻による成年擬制)
未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす

要件は、『未成年者が婚姻をしたとき』に、成年に達したものとみなされるのであって、『婚姻をしているとき』が要件ではありません。
ですから、一度結婚して、その後離婚しても引き続き成年者として扱われます。

したがって、未成年者であることの要件は以下の通りです。

 年齢20歳未満であること

(2022年4月1日以降は18歳に引き下げ予定)

 婚姻歴がないもの

( = 未成年者

そして5条1項で、未成年者の法律行為についての効果が定められています。

5条(未成年者の法律行為)
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

 

 未成年者の法律行為であること

= 法定代理人の同意を要する

例外

単に権利を得る行為
義務を逃れる法律行為

そして、5条2項で取り消し規定が定められています。

5条2項
前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる

未成年者の法律行為についての例外規定は、5条ただし書きから、5条3項、6条1項に定められています。

5条3項
第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

6条1項
一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する

つまり、例外を除き、法定代理人の同意を得ずにした未成年者の法律行為は取り消すことができるので、以下の公式が導き出されます。

 未成年者であること

 法定代理人の同意を得ない法律行為であること

 = 取り消すことができる

例外
・ 単に権利を得る行為
・ 義務を逃れる法律行為

・ 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の目的範囲内での処分
・ 法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産
・ 一種又は数種の営業を許された未成年者(その営業に関しては成年と同一)

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意義

未成年者の法律行為については、民法では手厚く保護されています。
成年に達するまでは、その判断を誤る場合もあろうということで、ほとんど全ての法律行為について法定代理人の同意を必要としています。
すなわち、法定代理人が後見者として見守ってあげるべきであるという趣旨です。

他の制限行為能力者との違いは、未成年者といっても乳幼児期を過ぎれば、ある程度の意思能力は持っているということです。
実際に7歳から10歳になると、具体的行為ごとに判断する意思能力はあるとみなされています。
中学生、高校生ともなれば、意思能力は成年と同じくらいだと考えても良いと思います。

しかし、なぜ未成年者の行為能力が制限されているかというと、まだまだ経験不足などで、その判断について過る可能性も否定できないであろうという趣旨です。

例外規定は、あまりに保護し過ぎて取引の安定性を欠いてしまう事態を避けようという趣旨です。
法定代理人が目的を定めて許した財産の処分は、ひとりでお遣いをたのまれたときなど。
目的を定めないで処分を許した財産とは、いわゆるおこづかいと考えると良いでしょう。

おこづかいの範囲で好きなものを買ったとして、それを法定代理人の同意が無いからといって取り消しなどされたら、小さな商店の店主などたまったものではないでしょう。
そうした事態を避け、契約の安定性を保つため、例外規定の意義があると考えると良いと思います。

まとめ

制限行為能力者制度については、それぞれの要件をしっかりと把握して意義を理解すれば、解ける問題です。

未成年者の法律行為については、とくに手厚く保護されています。
未成年者が、意思をしっかりと持って意思表示した法律行為であっても、法定代理人の同意が無ければ取り消すことができ、善意の第三者に対しても対抗できます。
善意の第三者にも対抗できる取消権は、強迫による意思表示の取消権と同じです(96条)。

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