顕名のない意思表示(民法100条)

民法総則

民法99条の代理についての要件・効果を基本として、それ以降の条文で、その要件に瑕疵があった場合の効果について定めています。
ですから、基本である代理についての要件・効果を理解した上で、その要件のうちのひとつである「本人のためにすること(顕名)を示すこと」をしなかった場合の要件・効果を理解すると良いと思います。

>>代理(民法99条)についてはこちら

100条では、代理の要件のうち「本人のためにすること(顕名)を示すこと」の要件を欠いた場合の効果について定めています。

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要件・効果

顕名のない意思表示を行った場合の要件・効果は以下の通りです。

 代理人に有効な代理権があること

 本人のためにする(顕名がある)ことを示さないこと

 代理権の範囲内で意思表示(代理行為)をなすこと

= 自己(代理人自身)を当事者とする意思表示とみなす

例外
・ 悪意: 相手方が、代理人が本人のためにすることを知っているとき
・ 有過失: 相手方が、代理人が本人のためにすることを知ることができたとき

民法100条の公式

 
要件効果を条文から導き出みるとどうなるでしょうか。
蛍光ペンを引きながら、条文を素読してみます。

100条(本人のためにすることを示さない意思表示)
代理人本人のためにすることを示さないでした意思表示は自己のためにしたものとみなす

公式にしてみます。
要件は、代理の要件の一部が満たされていないという形式で記載します。

有効な)代理人であること

 本人のためにすることを示さないでした意思表示であること

 代理権の範囲内で意思表示をすること

= 自己(代理人自身)のためにしたものとみなす

後半で例外を定めています。

100条 後半
ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第一項の規定を準用する。

この例外規定は、心裡留保(93条)の例外と似ていますね。
>>心裡留保についてはこちら

つまり、相手方本人が、代理人が本人のためにすることについて、悪意または有過失の場合には、代理人の意思表示は基本的な代理行為であるとしています。

心裡留保(冗談を言われた場合)のときも、形式的な意思表示を何がなんでも有効にすると、悪意・有過失であった場合の相手方に、文字通り悪意に利用される可能性があります。
代理行為も同様に、相手方の悪意・有過失の場合は保護しない、という趣旨です。

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まとめ

100条は、代理人の行った意思表示について、その要件に瑕疵があった場合の効果についての条文です。
相手方が、本人の代理人であることを知るよしもなかった場合には、代理人を当事者とみなし、相手方を保護します。

ただし、聞いた側が本人が代理人であること知っていたか、過失がある場合には保護せず、有効な顕名であると認めるということです。
心理留保(93条)と同様に、取引の安定性を保つため、形式的な表示でなく、相手方の善意・無過失を求めています。

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