権限外の行為による表見代理(民法110条)

民法総則

民法110条は、表見代理が成立する要件・効果を定めた条文です。
110条は、表見代理のうち、代理人が、権限外の法律行為をした場合についての要件・効果を定めています。

99条に定める代理についての要件・効果を基本として、それ以降の条文で、その要件に瑕疵があった場合の効果について定めています。
109条はその一部です。

そもそもの、基本となる代理(99条)についての要件効果はこちら

表見代理の基本、無権代理との相違などについてはこちら

表見代理が成立する場合とは、一定の要件を満たせば、満足な代理権が無くとも相手方を保護しようという場合ですから、なぜその要件が必要かという観点で見ると良いと思います。

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要件・効果

権限外の行為による表見代理が成立する場合の要件・効果は以下の通りです。

 基本代理権があること

 基本代理権を超えた代理行為があること

 相手方が代理人に権限があるべきと信ずべき正当な理由があること

= 本人に効力が生じる(表見代理が成立する)

民法110条の公式

蛍光ペンを引きながら、条文を素読して公式を導き出します。

110条(権限外の行為の表見代理)
前条本文(表見代理)の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する

公式にします。

 基本代理権がある(無権代理でない)こと(代理の要件)

 基本代理権を超えた代理行為があること

 相手方が代理人に権限があるべきと信ずべき正当な理由があること(善意・無過失が通説・判例)

= (前条を準用)本人が責任を負う(表見代理が成立する)

例外規定はありません。

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基本代理権の存在について

権限外の行為による表見代理が成立するか否かを検討するにあたっては、要件のひとつである「基本代理権がある」か否かは重要です。

なぜなら、基本代理権が無ければ、無権代理の要件が当てはまるので、本人が追認しない限り本人に効力が生じないからです。
反対に、基本代理権があれば、相手方が善意無過失であれば、本人に効力が及ぶことになります。

代理人選びと代理権授与は、とても重要な行為であるということでしょう。
このため102条には、制限行為能力者であっても代理人となれる旨の定めがあります。

102条(代理人の行為能力)
代理人は、行為能力者であることを要しない。

この条文の意義は、代理権を授与した者が、代理人が制限行為能力者であることを理解した上で責任をもって代理人を選任した以上、その者の行為により不利益を被った場合であっても受任するべきであるという考え方です。

もっとも、代理権を授与した時には行為能力者であった者が、その後に成年被後見人になった場合には、代理権は消滅します(111条1項2号)。

111条(代理権の消滅事由)
代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
1 本人の死亡
2 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。

意義・まとめ

110条は、権限外の行為による表見代理についての条文です。
権限外の行為であるか、無権代理による代理行為であるかの判断は、基本代理権があるか否か、で判断されます。
そして、基本代理権があるか否かの解釈には、多くの判例があります。
別ページで、後日まとめます。

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