条件|総説(民法127条、128条、129条、130条)

条件及び期限

民法127条から130条までは、条件についての総説に関する条文です。

試験問題にしばしば出てくるのは、131条から134条までの随意条件です。
しかし、随意条件を問題文で理解するための基本が、条件の総説です。
考え方は難しくないので、基本をしっかりと理解しましょう。

スポンサードサーチ

停止条件、解除条件の効力の公式

条文を後回しにして、条件の効力発生または消滅が簡単に解ける公式を説明します。

基本となる停止条件と解除条件の値として、次のような値を置きます。

停止条件 : +1
解除条件 : -1

文字通り、停止条件はプラス1、解除条件はマイナス1とします。

さらに、不確実な成否の付款がついたときに、次のような値を置きます。

不確実な成否の付款
成就  : +1
不成就 : -1

そして、不確実成否の付款がついたときは、それぞれの値を掛け算します。
このとき、+1なら効力発生、ー1なら効力消滅です。

例えば、停止条件が成就したとき、

(+1)(停止条件(+1)(成就

= (+1)(効力発生

例えば、停止条件が不成就だったとき、

(+1)(停止条件(-1)(不成就

= (-1)(効力消滅

例えば、解除条件が成就したとき、

(-1)(解除条件(+1)(成就

= (-1)(効力消滅

例えば、解除条件が不成就だったとき、

(-1)(解除条件(-1)(不成就

= (+1)(効力発生

この公式が基本です。

停止条件と解除条件

停止条件と解除条件の公式は、条文にズバリ出ているので、条文から素読します。

127条(条件が成就した場合の効果)
1項 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる
2項 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う

公式にまとめます。
停止条件も解除条件も、条件が成就するという要件は一緒で、効果が反対になります。

  条件が成就

停止条件 = 効力を生ずる
解除条件 = 効力を失う

自分だけなのかもしれませんが、停止条件という語感が、どうしても効力が停止してしまうような先入観があり、未だに戸惑うことがあります。
ですから、自分の脳内だけでは、停止条件のことを「効力条件」と言い換えてます。


そして、3項には効果を条件成就以前にさかのぼらせることができる要件として、当事者同士が意思表示をすることを定めています。

127条3項 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う

これは、私的自治の原則から考えても問題なく理解できるでしょう。

スポンサードサーチ

条件の成否未定の間に相手方の利益の侵害の禁止

128条では、相手方の利益の侵害の禁止について定めています。

公式から示します。

  条件付き法律行為の当事者であること

  条件の成否が未定であること

= 条件成就したときに生ずべき相手方の利益を害することができない

条文も確認します。

128条(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない


条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止は、停止条件を例として考えると良いでしょう。


例えば、いま住んでいるマンションAが売れて、そのお金を頭金として、新たなマンションBを購入することを計画した場合を想定してみます。
一般的に、いま住んでいるマンションAの売却を停止条件として、マンションBの売買契約を締結することがあります。
この場合、停止条件が付いており効力は生じていないとはいえ、停止条件付売買契約は成立しています。


このとき、マンションBの売り主は、早く売却したいからと言って、停止条件付売買契約の相手方以外の売り主に売却したり、故意過失によってマンションBに損傷を与えることはできない、ということです。


万が一このような事態が生じて、条件成就の履行が不能になった場合、相手方に対して不法行為責任(709条)または債務不履行責任(415条)を負い損害賠償をしなければならないことになります。

条件の成否未定の間における権利の処分等


129条は、条件付法律行為の当事者の権利義務について定められています。
この条文は、単純なので素読してみます。

129条(条件の成否未定の間における権利の処分等)
条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。

つまるところ、条件付きだからと言ってなにか特別に権利義務が発生または抑制されるわけでなく、一般の規定に従うということが定められています。


この条文がどう使われるか、仮にこの条文が無く、権利義務が抑制されるときにどんな問題が発生するかを説明します。


民法では、他人の物を売買することが有効であるとして規定されています(民法560条)。
そして、不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ第三者に対抗できないと規定されてます(民法177条)。


先の例の通り、停止条件付でマンションの売買をした買い主は、条件が成就するまでは効力が生じていないので、マンションの所有者として登記することはできません。


このとき、マンションの売り主が、128条に反してマンションを第三者に売却する契約をすることは、民法上有効な契約(民法560条)であって、その第三者が所有権の登記をすると、第三者対抗要件を満たし、停止条件付売買契約を締結した買い主は、物件を取得することができなくなってしまいます。


では、こういう事態を避けるためにどうすればいいのでしょうか。


この事態を避けるためには、先に締結した停止条件付売買契約に基づいて、マンションの所有権の仮登記をするという手段が129条により認められるのです。


停止条件付売買契約により所有権を仮登記することにより、もし売り主が128条に反してマンションを第三者に売却したとしても、条件が成就されて仮登記を本登記にすることにより、対抗要件を得て晴れてマンションの所有者となれるのです。


このときの第三者が、先に停止条件付売買契約が締結されていることを知っており、売り主も128条による禁止行為は避けたいと考えていたとします。
そうすれば、売り主と第三者は、先の停止条件付売買契約の条件が無効または取り消しとなることを停止条件とする停止条件付売買契約を締結して、その契約に基づく仮登記をすれば、万が一売り主がその他の第三者に売却しても、その他の第三者に対して対抗要件を得ることができます。


これらの手続きが担保されるのは、民法129条があるからということです。

スポンサードサーチ

条件の成就の妨害

130条は、条件付法律行為の当事者が、故意に条件成就を妨げたときの効果を定めています。

  条件成就により不利益を受ける当事者であること

  故意に条件成就を妨げたこと

= その条件が成就したものとみなすことができる

要するに、ズルは許さないということでしょうか。
条文も確認してみます。

130条(条件の成就の妨害)
条件が成就することによって不利益を受ける当事者故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる

意義・まとめ

条件は、将来発生するか否か不確実な事実の成否にかかる法律行為の、効力の発生や消滅を定める付款のことです。


付款とは、法律行為の効力の発生・消滅につき、当事者が合意によって制限を加えた約款のことです。
つまるところ、私的自治の原則により、双方の合意のもと取引の安定性を保たせるための規定です。

タイトルとURLをコピーしました