取得時効(民法162条)

時効

民法では、大きく取得時効消滅時効の2つに分けられます。

このうち取得時効について、要件をまとめてみます。

取得時効の要件・効果

取得時効には、所有権の取得時効(162条)と所有権以外の財産の取得時効(163条)があります。
所有権以外の財産とは、地上権、永小作権、地役権などのことです。

所有権の取得時効の要件は、まず時効(総則)の要件を公式として把握して、それぞれに要件を代入していきます。

時効総則の要件の公式は以下の通りでした。

  一定の事実状態があること

  その状態が一定期間継続すること

(= 時効の完成)

  当事者が時効を援用すること

= 時効の効力が生ずる

つまるところ、時効が完成して、当事者が時効を援用すると、時効の効力が生ずることになります。

ですから、取得時効の場合、この時効総則の要件の変数である、

  • 一定の事実状態とはなにか
  • 一定期間継続とはなにか

を、場合分けして、どの状態のときに時効が完成するかを当てはめれて考えれば良いのです。

悪意または有過失のときの取得時効(162条1項)

162条1項の条文を素読してみます。

162条1項(所有権の取得時効)
二十年間所有の意思をもって平穏に、かつ、公然他人の物を占有した者は、その所有権を取得する

一定の事実状態

  • 所有の意思を持つこと
  • 他人の物を占有すること
  • 平穏かつ公然に占有すること

一定期間継続

  • 20年間占有を継続すること

これに、当事者が時効を援用するという要件が加われば、悪意または有過失者が占有物を取得するという効果が生じます。

善意かつ無過失のときの取得時効(162条2項)

162条2項の条文を素読してみます。

162条2項(所有権の取得時効)
十年間所有の意思をもって平穏に、かつ、公然他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する

一定の事実状態(悪意または有過失と同じ)

  • 所有の意思を持つこと
  • 他人の物を占有すること
  • 平穏かつ公然に占有すること

一定期間継続

  • 10年間占有を継続すること

これに、当事者が時効を援用するという要件が加われば、善意かつ無過失者が占有物を取得するという効果が生じます。

取得時効の要件・効果(まとめ)

時効の要件は、時効が完成すること当事者が時効を援用することです。

時効が完成するとは、一定の事実状態があることと、その状態が一定期間継続することです。

このうち、一定の事実状態は、悪意有過失でも善意無過失でも同様に以下の通りです。

  所有の意思を持つこと

  他人の物を占有すること

  平穏かつ公然に占有すること

= 一定の事実状態がある
そして、その状態が一定期間継続するという要件の一定期間については、場合分けが必要です。

一定期間について、悪意または有過失の場合、

  20年間占有を継続すること

= 一定期間継続している
 

一定期間について、善意かつ無過失の場合、

  10年間占有を継続すること

= 一定期間継続している
 
 
これで、公式の要件が完成します。
取得時効の公式は、あくまで以下の通りです。
 

  一定の事実状態があること

  その状態が一定期間継続していること

  当事者が時効を援用すること

= 時効の効力が生ずる
 
時効民法総則
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